HARA型効用関数の基本性質

HARA型効用は、その扱いやすさから、ファイナンス・金融経済学において広く用いられている。

本記事では、HARA型効用の基本的性質について述べ、HARA型効用がいくつかの標準的な効用関数を特殊ケースとして含むことを示す。

本記事の内容は下記書籍の内容を参考にしているため、合わせて参照してほしい。

目次

HARA型効用関数の基本性質
二次効用関数
指数型(CARA型)効用関数
ベキ型(CRRA型)効用関数
対数型効用関数
参考文献

HARA型効用関数の基本性質

HARA型効用関数はファイナンスや金融経済学の研究で広く用いられる効用関数のひとつである。

投資家が富の水準\(W\)から効用を得るとき、HARA型効用関数は以下の式で表される。
\[ u(W)=a+b\left(\eta + \frac{W}{\gamma}\right)^{1-\gamma} \]ただし\(\eta + \frac{W}{\gamma}>0\)を満たすとする。

\(u(W)\)を\(W\)で微分し、限界効用を求めると、
\[ u'(W)=b\frac{1-\gamma}{\gamma}\left(\eta + \frac{W}{\gamma}\right)^{-\gamma} \]
となる。
\(b\frac{1-\gamma}{\gamma}>0\)のとき、限界効用は富の水準によらず正となり、効用関数の非飽和の条件を満たす。

\(u'(W)\)をさらに\(W\)で微分し、効用の2階微分を求めると、
\[ u''(W)=-b\frac{1-\gamma}{\gamma}\left(\eta + \frac{W}{\gamma}\right)^{-\gamma-1} \]
となる。
\(b\frac{1-\gamma}{\gamma}>0\)のとき、効用の2階微分は富の水準によらず負となり、効用関数は凹関数、つまりリスク回避的になる。

Arrow-Prattの絶対的リスク回避度\(ARA(W)\)と相対的リスク回避度\(RRA(W)\)を計算すると、以下のようになる。
\[ \begin{split} ARA(W)&=-\frac{u''}{u'}\\ &=\frac{1}{\eta + \frac{W}{\gamma}} \end{split} \] \[ \begin{split} RRA(W)&=-W\frac{u''}{u'}\\ &=\frac{W}{\eta + \frac{W}{\gamma}} \end{split} \]
絶対的リスク回避度\(ARA(W)\)が双曲線の式で表せることから、Hyperbolic Absolute Risk Aversion(HARA)型の名がある。

HARA型効用は多くの効用関数を特殊ケースとして含む。

以下、特殊ケースとして導出できる効用関数についてみていく。


二次効用関数

\(\gamma=-1\)のとき、二次効用関数が得られる。

HARA型効用関数の式
\[ u(W)=a+b\left(\eta + \frac{W}{\gamma}\right)^{1-\gamma} \]
に\(\gamma=-1\)を代入して、二次効用関数
\[ u(W)=a+b\left(\eta -W\right)^{2} \]を得る。

指数型(CARA型)効用関数

\(\gamma\to-\infty\)のとき、指数型効用関数が得られる。

HARA型効用関数の絶対的リスク回避度\(ARA(W)\)において\(\gamma\to-\infty\)とすると、
\[ ARA(W)=-\frac{u''}{u'}=\frac{1}{\eta + \frac{W}{\gamma}}\to\frac{1}{\eta} \]であるから、
\[ \begin{split} -\frac{u''}{u'}&=-\frac{d(\ln u'(W))}{dW}=\frac{1}{\eta} \\ \Leftrightarrow \ln u'(W)&=-\frac{W}{\eta}+k_1\\ \Leftrightarrow u'(W)&=K_1 e^{-\frac{W}{\eta}}\\ \Leftrightarrow u(W)&=-\frac{K_1}{\eta}e^{-\frac{W}{\eta}}+K_2\\ \end{split} \]を得る。
絶対的リスク回避度\(ARA(W)\)が定数で表せることから、指数型効用関数をConstant Absolute Risk Aversion(CARA)型効用関数とも称する。


ベキ型(CRRA型)効用関数

\(\eta=0\)かつ\(\gamma>0\)のとき、ベキ型効用関数が得られる。

HARA型効用関数の相対的リスク回避度\(RRA(W)\)において\(\eta=0\)とすると、
\[ RRA(W)=-W\frac{u''}{u'}=\frac{W}{\eta + \frac{W}{\gamma}}=\gamma \]であるから、
\[ \begin{split} -\frac{u''}{u'}=-\frac{d(\ln u'(W))}{dW}&=-\frac{\gamma}{W} \\ \Leftrightarrow \ln u'(W)&=-\gamma\ln W =\ln W^{-\gamma}+c_1 \\ \Leftrightarrow u'(W)&=C_1 W^{-\gamma}\\ \Leftrightarrow u(W)&=\frac{C_1W^{1-\gamma}}{1-\gamma}+C_2 \end{split} \]を得る。
相対的リスク回避度\(RRA(W)\)が定数で表せることから、ベキ型効用関数をConstant Relative Risk Aversion(CRRA)型効用関数とも称する。

対数型効用関数

ベキ型効用において、\(\gamma\to1\)のとき、対数型効用関数が得られる。

ベキ型効用関数における限界効用
\[ u'(W)=C_1 W^{-\gamma} \to C_1 W^{-1}\]
を積分すれば、対数型効用関数
\[ u(W)=C_1\ln W +C_2 \]を得る。

参考文献

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